TOP > 受賞作品 > 第11回 ガールズコミック部門
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
168作品
最終選考候補
3作品
選考委員
森好正(ebコンテンツGP)、佐藤康男(B’s-LOG編集部編集長)
総評
光るところは多々あれど、そこが光っているので本当にいいのか疑問に思う作品が散見されました。マンガは小説と違って決めの台詞ひとつ、決めのコマひとつでぐぐっと読者の心の中に食い込めるジャンルです。描きたいポイントを絞り込み、一点突破全面展開を図ってもらえればと思います。
佐藤
受賞された皆様おめでとうございます。しかし今回の受賞は作家としてまだスタート地点にも立っていません。ようやく選手としてレースにエントリーできた段階です。今まで以上に考え、これが描きたかったんだとわかる連載を起こしてほしい。皆さんがスタート地点に立つ日を心待ちにしつつ、これからの精進に期待します。
受賞作品
◆佳作
『秘密の壁穴(ひみつのかべあな)』
★作者:はる桜菜(はる さくらな)
プロフィール:富山県出身。現在、京都精華大学のマンガ学部でストーリーマンガの何たるかを学んでいる気がします。ピアノは弾けないがショパンが大好きです。
★受賞者コメント
信じられないと言う言葉がよくあるが、まさにそんな感じの気持ちです。そしてそれは想像していた信じられなさとは違いました。目をかけてくださった方々にありがとうございます。精一杯頑張りたいと思います。
★作品内容
エドセルとウィリスは思春期を迎えたばかりの少年。ウィリスは女性に対して興味津々なのに対し、エドセルはどこか冷めた印象だった。ある日、エドセルはウィリスを連れて、町外れにある邸宅へと向かう。そして今晩、その壁にある「穴」に耳を当てて待てという。ある貴婦人が現われ、壁の向こう側から耳を愛撫してくれるというのだ。半信半疑で待つエドセルだったが、果たしてウィリスの言うとおりのことが起こる。壁越しの逢瀬に溺れていくエドセルだが、貴婦人の正体とは――!?
【選評】森
とにもかくにも耳を舐めるシーン一発で評価を勝ち得た作品。それでいいのです。もっとも描画などはまだまだ未完成なので、とにかく量を描いて、画を安定させてください。
【選評】編集部
作者の描きたいことがすぐにわかる作品。非常に秀逸です。二人の登場人物の心理がよく伝わってきました。これからもっと描き続けて、個性を磨いていってほしいです。
◆奨励賞
『ミキミハ!』
★作者:三雲アズ(みくも あず)
作者プロフィール:広島県出身。デザイン系専門学校を卒業後、ゲームショップでアルバイトをしながら、たまに漫画を投稿をしてみたりな生活を送っていた。
★受賞者コメント
この度は恐れ多くも賞をいただき、本当にありがとうございました。私に関って下さったすべての方々に感謝の気持でいっぱいです。これからもっと沢山の作品を描いて精進したいと思っております。本当にありがとうございました!
★作品内容
知的メガネのミッキーは、少しだけ未来を見る力を持っている。彼が偏愛する従弟の金髪碧眼超美少年・ミハエルと、古ぼけた洋館で恋占い屋を営んでいた。そんな二人の元に、今日は一風変わったお客が現われた。占いの依頼者ではない。ミハエルの「亡き人の思いを聞く」力を頼って来たという少年の幽霊は、「弟の茶碗を探してほしい」と言う。依頼を受けたミハエルだったが、茶碗は川に投げ捨てられたもので……!?
【選評】森
物語の終盤、「――帰ろう ミッキー」のあたりからの流れは、胸に迫るものがありました。しかしそこに至るまでがコマ割り・台詞ともに微妙に過剰。もう少し、そぎ落とせるものがあるはずです。
【選評】森
キャラクターに魅力がある作品に仕上がっている点は好印象です。ただ設定がわかりづらいのがもったいない。もう少し整理が必要だと思われます。精進を重ねれば必ずよくなるはずです。
◆奨励賞
『筆神(ふでがみ)』
★作者:たゆた
プロフィール:兵庫県出身・在住。POP広告クリエーター技能審査試験2級を取得し販売職をしていたが、漫画を描きたくて3年前に退社。ただいま関西エリアでアシスタントをして修行中。
★受賞者コメント
すごく嬉しいです! 手を差し伸べて下さった編集部の皆様、支えてくれた身内・友人・師匠に心から感謝の気持でいっぱいです!! このチャンスを生かして先へ進めるように頑張ります。「この作品に出会えて良かった」と思ってもらえる作品が目標です。
★作品内容
ある朝の通学途中、寿矢(かずや)のカバンについていた「お守り」が街の雑踏の中で取れ落ちてしまった。落ちたことに気づいたお守りの中の神様は、持ち主を探そうとその姿を現すが、街の人々には見えようもない。持ち主の元に戻れられなければ、悪しき棄て神となるか存在が消えてしまうか……その猶予はわずか一日。だが、その神様はどうしても寿矢の元へ戻らなければならない一念があった。その思いのゆえんと己の存在理由を知るため、そして持ち主へと帰るため、当てなき街をさまよう──。
【選評】森
絵も達者、ネームもこなれた感じ、とレベルは高い。ただ、欲を言えば守護者として目覚めるくだりが迫力不足です。ここの心理描写が作品の肝であるだけに、見開きを使ってみるなどまだ改善の余地があるのではないかと思います。
【選評】森
よくまとまっており面白く読めました。惜しむらくは作者が何が描きたいかが、読み手にもう一歩つたわりずらい仕上がりになってしまっていること。そこが改善されると大変期待ができます。