TOP > 歴代受賞作品 > 第13回 ガールズノベルズ部門 一期
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
498作品
最終選考候補
7作品
選考委員
森好正(eb! 取締役)、ビーズログ文庫編集部
※第12回えんため大賞ガールズコミック部門につきましては、前編集長は選考に参加しておりません。
総評
全体的な文章力や作品レベルは上がっており、読みやすい作品が多かった。
全体的なまとまりはよかったといえるが、その分、個性的な作品が欠けており、物語の設定がパターン化されている似通った作品も多かった。
物語の設定や伏線にこだわりすぎて、主人公になるべきキャラクターのバックグラウンドがとってつけたような形になっているものや、ヒーローがヒーローたる所以が感じられず、伝えたいことが何なのかが、伝わらないまま終わってしまい、始まりはよいのに、最後に力つきてしまう作品も少なくなかった。
編集部
ガールズノベルズ部門での募集が始まって4年目の今回は、作品数の増加とともに、全体的な作品レベルの向上が見られ、応募された皆さんの熱意を感じる選考となりました。冒頭でひきつけられる作品がとても多く、良い傾向だと思います。ただしそれは、先の展開で維持できなかった場合には、意味がありません。残念ですが、小手先の技術の向上としか受け取れません。
また、適切な題材と読みやすい文章、まとまりのよいストーリー。これらすべてをクリアすることは確かに必要ですが、そのために、あえて個性を出すことを躊躇しているのではと思わせる作品も多く見受けられました。
生き生きとしたキャラクター、読後にのこるメッセージ性、そして新人らしい勢い。「新人賞」だからこそ評価される点がこれらです。
・キャラクター:傾向として、脇キャラは上手に描けているのに、ヒーロー、ヒロイン達のバックグラウンドが練りこまれていない作品が多く見受けられました。主役があってこその脇キャラです。読者が感情移入できる作品世界の中に生きていて、感受移入でき、その人生を読者が応援できるようなキャラクター作りを心がけてください。
・メッセージ性:設定や物語の構成にこだわるあまり、作品そのものが発するメッセージが伝わりづらいです。読み手に対してメッセージが伝わらないものは、どんなに文章が上手に書けていても、失敗作です。
・新人らしい勢い:新人作家には、なにかに似ている作品で世に出ていただくわけには行きません。アラが目立つとしても、今まで読んだことのない作品が選考では残っていきます。プロ作家ではないあなたが、今だからこそ書ける最新の作品を応募してください。
受賞作品
◆特別賞
『恋する王子と愛しの姫君』
★作者:小椋新之助(おぐら・しんのすけ)
プロフィール:兵庫県在住。12月30日生まれのO型。大学時代は物語の基本を学ぶために童話創作ゼミへ。趣味はバレエ鑑賞。好きな飲み物は紅茶。好きな花は薔薇。
★受賞者コメント
ありがとうございます。特別賞と聞き「大丈夫ですか」と返してしまいましたが「だ、大丈夫……です、よ!」というお返事を頂いたので大丈夫なんだろうと思ってます。一次選考から最終まで選んで下さった全ての方々に感謝しつつ、これから読者となられる皆様のために全力を尽くします。
★作品内容
魔道王国ペンテレイアで兵士の任に就いている少年・ミラは、ある日、小鳥を助けようと木に登って落ちようとしたところを、隣国の王太子・アレクシスに助けられる。なぜかアレクシスに気に入られてしまったミラは、彼に突然胸元を触られたり、「一緒に、風呂に入りませんか?」と強引に誘われて大・困・惑。あまりに突飛な申し出に事情を聞くと、アレクシスの幼い頃に亡くなった恋人・モニカとミラが、とてもよく似ているのだという。さらに、兵士を辞めようと悩むミラに、アレクシスは「一緒に城に来てほしい」とプロポーズまがいの言葉まで告げるのだった。そんななか、アレクシスは、趣味趣向までモニカと酷似しているミラが、13歳以前の記憶を持っていないことを知る。ミラの素性を調べ始めたアレクシスは、ミラが魔導の力で男に姿を変えられたモニカだったことを確信して大喜び!! 同時に、実はアレクシスは、モニカに心底嫌い抜かれていたことを思い出し……。
【選評】森
主人公カップルの設定で意表を突かれるが、設定のインパクトだけで終わっていない点に好感を抱いた。脇役である王妃にもドラマが用意されており、人々のある種の善意がすれ違うことで物語が動いていくところがおもしろく読めた。
◆特別賞
『神の獣と天の華』
★作者:木乃香 改め 秋月志緒(あきづき・しお)
プロフィール:10月16日生まれ、茨城県在住。フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する一方、数年前から物語の創作を始める。趣味は飼っている犬をしつこく撫で回すこと、五歳年上の姉にしつこく纏わり付くこと。
★受賞者コメント
絵本、漫画、小説──幼い頃から、私の側には常に物語が存在していました。「いつかは自分も作り手になりたい」子供の頃に抱いた夢が、ようやく動き始めそ うです。スタートラインに立たせてくださいました全ての関係者の皆様、そして家族に深く感謝しています。多くの方に愛される作品を目指し、努力を重ねてまいりますの で、どうぞよろしくお願いいたします。
★作品内容
人界が奸臣により政が乱れ、戦が起こり、王が窮地に立たされた時、天より鳳凰騎神と十匹の走獣が現れ、国を救った――。
天界に住む神人の伝説が残る国・蓮国。その王都に住む16歳の少女・天華は、漢薬屋「燈」の一人娘。
幼い頃から漢薬師になることを夢見て勉強に励んでいたが、「ある事件」をきっかけに薬の調合ができなくなってしまった。
それからは別の道を歩もうと、書、刺繍、陶芸……あらゆるものに挑戦するものの、薬以外のことには驚くほど才能が無いことが発覚。
何もできない自分に途方に暮れていたある日、天華は路上で小さな羽根を見つけた。
鮮やかな藍色に魅かれて、拾って帰ろうとすると、足許には黒と白の二匹の子猫が。
――そして次の日の朝。一緒に布団に潜り込んでいたはずの子猫たちがなんと、神々しいほどの美しい顔立ちをした男と愛くるしい少年になっていた!! 
混乱する天華に彼らは「羽根を返せ」と迫ってくるのだが――!?
【選評】森
少々設定に凝りすぎのきらいがあるが、こちらも母親など脇役が生き生きとしており、好印象。ただ、敵役の抱いている野望や怨念がありきたりと言えばありきたり。そのあたり、もう少し彼を個性的な存在にできれば、作品の格がもうひとつあがったであろう。