TOP > 受賞作品 > 第13回 ガールズノベルズ部門 二期
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
435作品
最終選考候補
5作品
選考委員
森好正(eb! 取締役)、ビーズログ文庫編集部
総評
第一期に引き続き水準が高く、物語としてきっちりと「主題」が明確な作品がそろっていたことは喜ばしい。また、ビーズログ文庫のカラーが認知を得てきたためか、「ジャンル違い」の応募作は目立って減っている。ただ一方で「斬新な世界観」を提出している作品もきわめて少ない。両者はなかなか並立しないものではあるが、次回はそのような応募作が増えることを期待する。
編集部
13回<二期>は募集期間が短かったにもかかわらず、レベルの高い作品が数多く集まりました。
文章表現技術が高く、既存の流行ジャンルにとらわれない意欲的な作品が多かったことも印象的です。
そのなかで、今回受賞にいたったのは「読者を意識した作品作り」をしているものです。
「自分にしか書けないオリジナル性」を意識しすぎたのか、展開としてただただ突飛な方向へ向かってしまう作品も見受けられた中で、受賞作品は読者を置き去りにすることなく、逆に自分の世界観に引き込んでいく魅力溢れる作品だったことが高評価につながりました。
またそれは、恋愛や様々な障害を乗り越える葛藤など、心理描写に関しても同じことが言えます。
例えば恋愛感情においても、主人公が恋を自覚してからの描写はたくさん書かれているのに、「そもそもどうして主人公は彼(彼女)に心を動かしたのか」という基本的な部分にしっかり触れている作品がとても少なかったのです。そのため説得力に欠けてしまい、せっかくのドキドキ感が半減してしまいました。
技術面での向上は見られるのに、こういった部分が年々おろそかになっているように思えます。
作品を創るうえで、「自分は読者に何を伝えたいのか?」という作品のテーマ性をもう一度改めて考えてみてください。
個性豊かなキャラクターとワクワクする、勢いのある作品をお待ちしております。
受賞作品
◆優秀賞
『おこぼれ姫と円卓の騎士』
★作者:石田リンネ
プロフィール:愛知県在住。好きなお茶はほうじ茶。好きなケーキはショートケーキ、ただし苺抜きで。趣味はカフェでの一杯。カフェラテや紅茶はノンシュガー派、ただしココアのみ生クリームたっぷり濃厚激甘派。
★受賞者コメント
選考に関わってくださった皆様、そして応援し続けてくれた家族・友人に深く感謝しております。投稿作品を書こうと決意したとき、もう色あせた表紙になってしまったものもある、たくさんの大好きな本を読み返しました。幼い私が体験した、小説の中でお姫様にも、勇者にもなれたあの感動を、今度は書き手側で生み出せたらと思っております。これから一層の努力を重ね、皆様の元へと夢の詰まった作品をお届けしていきたいです。
★作品内容
金色の髪と青灰色の瞳を持つソルヴェール国の第三子、第一王女・レティーツィア。彼女は、人に言えないある秘密を持っていた。自分が“国王になる”運命を“知っている”という秘密を……。その内容どおり、レティーツィアは、優秀な兄王子二人の王位継承権による内部争いを恐れた父親から、次期国王の任命をうける。要は、“おこぼれ”で国王になることが決まってしまったのだ!!  レティーツィアは、即位する際に必要な十二人の騎士選びをするハメになり、漢(おとこ)の中の漢と謡われる王立騎士の一員デューク・バルヒェットに白羽の矢を立て、「貴方を未来のナイツオブラウンドの第一席に迎え入れたいと思います」とほぼ決めつけ状態で誘う。しかしデュークは「『おこぼれ姫』の愛人と言われるのは願い下げです」と即座に断ってしまう。あきれめきれない彼女は……!?
【選評】森
単なるラブロマンスにとどまらず、強いヒロイン、緊張感のあるドラマ展開、と「読ませる」要素に満ちている、優秀賞にふさわしい作品。ただし惜しいことに物語の世界がひどく狭い。もう少し「世界の広がり」を感じさせてもらえると、ドラマにより一層の説得力が備わるのではないか。
◆特別賞
『テキトー王子、父になる(七人!)。』
★作者:汐見まゆき
プロフィール:7月23日生まれ。O型。埼玉県在住。大学卒業後、小説の投稿を始める。趣味は大相撲とサッカーの観戦。好きな言葉は『三年先の稽古』。蟹アレルギー。
★受賞者コメント
たくさんの応募作品の中から拙作を選んでいただき、本当にびっくりしています。選考に携わり、目を通していただいたすべて方々に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。デビューというチャンスをいただいたばかりではありますが、常に自分を土俵際に追い込んで、創作に励んでいきたいです。どうぞよろしくお願い致します。
★作品内容
マーテル国の『釣り王子』こと第四王子・リヒトは、他の兄王子のようなめざましい活躍をすることもなく、のほほんと趣味の釣りにいそしむ毎日を過ごしている。ところがある日、父王が勝手に結んだ婚姻により平和な日常は一変! なんと相手は、隣国バフラムの女王・アマリリア。急な事態に驚くが、持ち前の呑気な性格で「ま、いっか」とあっさり承諾。婿入りするため、バフラムへと旅立つ。そして女王と初対面の日――。現われたのは、無邪気でとてつもなく美しい女性。なぜこんな人が、交友がほとんどない国の、しかも釣り以外に取り柄もない第四王子との婚姻を申し出たのか――? リヒトの疑問はほどなく解消された。実はこの女王、彼より20才も年上で、今回が7度目の結婚で――挙げ句に7人の子持ちだったのだ!! 17歳にして、7人の父親となったリヒト。さすがに「ま、いっか」では済まされない事態に動揺するが、さらに上を行くとんでもない事態が待ち受けていて――!?
【選評】森
ラブロマンス(?)が終わったところから始まる物語、という構成の妙が目を引いた。しかし主人公とお付きの騎士のキャラクターがいまひとつ弱い。改稿時にはぜひそのあたりに書き込んで物語に厚みをつけてもらいたい。