TOP > 歴代受賞作品 > 第15回 小説部門
歴代受賞作品
インフォメーション
応募総数
737作品
最終選考候補
8作品
選考委員
河西恵子(ファミ通文庫編集長)、ファミ通文庫編集部
総評
河西
今回の応募作全体の傾向としては、一頃の学園ラブコメが減り、バトル物、ファンタジー物が増えた印象があり、しっかりした物語を求める傾向にある市場と連動していることが顕著に窺えました。非常に世の受けを意識している反面、こちらの度肝を抜くような破天荒な作品がなかったのが残念でした。そんな中から、世界観の組み合わせの面白さ、バトルシーンの爽快さ、雰囲気作りの上手さ、キャラクターの立ち方、良さなど、特徴ある5作品を受賞作として選ぶことができました。
受賞作品
◆優秀賞
『ヒストリア・シード』
★作者:朝凪シューヤ(あさなぎ しゅーや)
プロフィール:神奈川県在住。運命・伝説・最強などのワードが大好き。初めて書いた小説は悪魔を倒す話、二番目は死神を倒す話、それ以後は巨人や鎧の亡霊やドラゴンを主人公たちが倒す話を書いていき、受賞作はキャラが全員英雄の子孫な話に。
★受賞者コメント
受賞の連絡を頂いた時は電話を持つ手が震えました。声も震えていたかと思います。ヒロインの甘い展開以上に、ラスボスとのバトルをいかに良く魅せるかそればかり考えてきた偏屈者ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
★作品内容
『英雄推進プロジェクト』それは神話や伝説で活躍した英雄の子孫を現代社会で活躍させる為、きちんとした教育機関で育てようという稀代の大プロジェクト。その舞台となる砂神学園に歴代2位の成績で編入したある英雄の子孫、伊集院狛也だったが、何者かの陰謀によって問題児ばかりの分校へと所属を変えられてしまう。荒れに荒れた分校の環境に唖然とする狛也だったが、本校に戻ることの出来る『昇級試験』の存在を知る。狛也と同じように分校に落とされた背中に翼のある少女、羽撫崎くらみと共に昇級試験合格を決意するのだが……!? 新約英雄バトルファンタジー! 
【選評】川崎拓也(ファミ通文庫副編集長)
古代に存在した英雄の子孫たちが通う学園での異能バトルとなると、今では比較的ありふれたジャンルとも言えるが、本作は武器設定を含めその世界観構築が粗いながらも非常に新鮮だった。加えて若干キャラがブレてはいるが既存作品にはない主人公造形も受賞の決め手となった。
◆優秀賞
『リーガル・ファンタジー』
★作者:羽田遼亮(はた りょうすけ)
プロフィール:生まれも育ちも東京の某漁師町です、ある日突然、小説を書き始めたはいいが、一次落ちを繰り返し、僕の文は日本語にさえなっていないのか、と数年間断筆。久しぶりに再開した友人に励まされ、執筆を再開した矢先、今回の僥倖へと繋がりました。
★受賞者コメント
自分の書いた物語が本屋に並ぶ、というのはそれ自体がちょっとしたファンタジーで僕とは無縁の世界だと思っていました。人生万事塞翁が馬、その言葉の意味を?み締めながら、自分の本を手に取る日を夢見ております。
★作品内容
魔族との共存という形で終結した聖魔戦争よりおよそ三〇〇年後――弁護士見習いのフィオナはスミオ法律事務所への入門を許されるも、「貧乏人の依頼を一切受け付けない」という方針に反感を抱き、人権派弁護士ダビドの徒弟として法廷デビューをする。しかし相手側の弁護席に立つのは勝訴率九九.九%オーバーの古エルフにして「法廷の魔女」の異名を持つスミオ・マリアヘルその人であった。裁判に惨敗し、借金漬けのフィオナは再びスミオ法律事務所の門を叩くことになる。そんなある日、国家宰相から秘密裏に弁護依頼を受けることに。その依頼内容は――魔王から世界を救った勇者の弁護!? 裁判×ファンタジーの異色コメディ!
【選評】川崎拓也(ファミ通文庫副編集長)
ファンタジーの世界の法廷を舞台にした人間ドラマというアイデアに着眼し、しかも一本の作品として書き切った気概をまず大きく評価したい。世界観設定やストーリー展開に幾つか改めるべき点はあるが、魅力的なキャラクターや折り込まれるファンタジーRPG的小ネタなど随所にセンスを感じる。
◆特別賞
『眼球探求譚』
★作者:緋色友架(ひいろ ともか)
プロフィール:1991年東京生まれ東京在住、純粋培養のもやしっ子。なのに日光が苦手な吸血鬼体質の為、芽が出ないんじゃないかと危惧していたところに受賞の連絡が。これから世界樹の如く伸びていく所存。ちなみに好きな野菜はゴーヤ。もやしではない。
★受賞者コメント
高校時代から数えて7年目、ようやく夢の切れ端を?めました。広がり始めた大風呂敷を畳むことができるのか不安もありますが、一つでも多くの『好き』を創り出していけるよう、頑張っていきます! 関係者の方々、ありがとうございますです!
★作品内容
理由なき殺人鬼、切原刃。4歳の頃から刃の日常に組み込まれた殺人をいつも通り終えると、そこにいたのは幼馴染みにして「最初の殺し」の目撃者である郷弥視央と、死体から目玉を抉り取ろうとしていたゴスロリ少女、眼球選瞳子だった。そこで刃は、かつて瞳子の左目に収まっていた「魔眼」を探して欲しいと頼まれてしまう。魔眼の持ち主は不幸になるという特性から殺人鬼をも引き寄せるだろうという視央の予想を聞いた刃は、警察官でありながら殺人鬼を束ねる足洗邸串満が経営する「Killer'sBAR」へと向かうが……。孤独を愛する殺人鬼、波止場海域と死体に恋する殺人鬼、撫胎乱々との邂逅を遂げ、刃と瞳子は不幸に引き寄せられるように魔眼に近づいていく。禁忌を踏み越える、クライムゴシックノベル。
【選評】川崎拓也(ファミ通文庫副編集長)
魔眼を巡り殺人鬼だちが戦いを繰り広げる中二異端的作品。キャラ造形・世界観そして語り口と独特の雰囲気を持ち、応募作の中でも目を惹いた。この作風が確実に刺さる読者層はいるだろう。ただそれ故に読者を選ぶ作品である。そこを意識していきつつ、このセンスが磨かれることに期待したい。
◆特別賞
『帝都剣戟モダニズム』
★作者:高瀬ききゆ(たかせ ききゆ)
プロフィール:1980年代生まれ、新潟県在住。家の周りには何もなく、雪が降ると物理的に家から出辛くなるため、部屋に引き篭もって小説を書き続ける毎日。そんな日々が結実したのか、遂に新人賞受賞。戦闘シーンを好むが、本人の運動神経はゼロに近い。
★受賞者コメント
受賞、本当にありがとうございました。一報を頂いた後にゲームを再開するも、動揺して陣形選択を誤り無用な被害を出しました。こうしている今も若干精神状態が怪しいですが、何とか落ち着きを取り戻してやっていきたいものです。
★作品内容
帝都の空は今日も暗く、排煙が空を覆っていた。開国、文明開化……時代の流れに乗り、西洋からもたらされた『蒸気機関』が大きく発達し、廃刀令が敷かれなかった帝都オオエド。しかし華々しい近代化とは裏腹に、街では『怪人赤マント』による辻斬りが横行し、帝都剣術学校の剣士たちによる警邏が行われていた。帝剣へと入学した清水龍人はある日、授業の一環で帝都を警邏していると、路地裏から女性の断末魔のような悲鳴を聞く。龍人が現場に駆けつけるとそこには五体をバラバラにされた死体が転がっていて――。モダニズム剣術活劇開幕!
【選評】川崎拓也(ファミ通文庫副編集長)
「架空の近代日本」+「スチームパンク」+「剣劇アクション」といやがおうにもワクワクさせる世界観が大きな魅力だった本作。そのビジュアル性の高さも評価された。しかし、真犯人があまりにもすぐわかってしまうことを含めたストーリー展開の粗さや主人公の造形の甘さなど改稿すべき点も多い。
◆東放学園特別賞
『あのメッシは魔法を遣う』
★作者:今福慶一郎(いまふく けいいちろう)
プロフィール:1988年10月生まれ。埼玉県出身。昭和最後の世代。何を血迷ったのか大学卒業後専門学校へ進学。一度きりの人生と割り切って暴走した結果、現在に至る。ゆえにファミリーカーストは常に最下位。世の中って謎。
★受賞者コメント
関係各所の皆さま、このたびはありがとうございました。今は感謝の言葉以外に何も浮かびません。専門学校でお世話になった方々にもただただ感謝するばかりです。これからは足りないものを補うために努力を重ねていきたいと思います。
★作品内容
ハーレム王なんていう非現実的な夢を見る森島海斗。そんな海斗はある日見慣れぬ異世界のサッカースタジアムにいた。そして目の前で行われているサッカーはただただ異様だった。フィールドからは爆音が鳴り響き、美少女達が炎を纏ったボールを蹴り出す。水の壁がそれを防ぎ、発生した蒸気がスタジアムを覆う。そんな異様な競技の監督を任された海斗だったが、サッカーに全く関心の無い海斗は初戦を落とし、しかもいきなり解雇されてしまう。住む場所も失い途方にくれる海斗の前に、一人の美少女が現れ、渡しとチームを作ってと請われるが――!?
【選評】川崎拓也(ファミ通文庫副編集長)
異世界の魔法を駆使して行うサッカーの監督になってしまうというアイデアは面白い。また全体的にソツなく書けていた。しかし、ファンタジーを書くには最低限の異世界設定を組まねばならず、そこには読者を引き込む説得力が必須。ということで本作はその点が大きく欠けていた。