TOP > 第16回えんため大賞受賞作家インタビュー:夏野ちより
第16回えんため大賞受賞作家インタビュー
第16回エンターブレインえんため大賞
ガールズノベルズ部門 優秀賞受賞
夏野ちより
『悪誉れの乙女と英雄葬の騎士』
●プロフィール
8月22日生まれ、獅子座のA型。レトロな文房具集めと星空観察が好き。子供の頃、夏休みには田舎で物語に触れながら過ごした結果、ファンタジー世界と夏の終わりをこよなく愛する人間に育ちました。相棒は猫のロッタです。

小説(orまんが)を書こうと思ったきっかけはなんですか?

子供のころから色んな物語に触れるたび、自分の中でそのストーリーをなぞったお話を考えて遊んでいました。そのうち空想だけでは収まりきらず、自分で書くようになりました。小説を書くのが一番の楽しみであることは、昔もいまも変わりません。

えんため大賞でデビューしたいと思われた理由を教えてください。
(ex.賞金が魅力的、出身作家が好きだったなど)

刊行されているお話の全てがわくわくして魅力的で、純粋に読者として大好きなレーベルだったからです。とはいえ、憧れの作家さんたちにお会いできる機会が本当にあるとは夢にも思わなかったので、授賞式では緊張してロボットのように頭を下げるのを繰り返してしまいました。

今回の受賞作のアピールポイントはどこですか?
また、執筆・応募にあたって気をつけたことがあれば教えてください。

「捻くれ英雄騎士」×「義を愛する海賊姫」という正反対のふたりが諸事情で組むことになり、男女の対等なペアとして事件解決に挑む冒険ものです。黒髪短髪で柄の悪いかつての英雄と、信念のためには手段を選ばないダークヒロインを書くことに全力を尽くしました! 執筆にあたって最も気をつけたのは、自分の好きな要素を躊躇しないで出し切ることです。同時に最も悩んだのは、どうやったら読んで下さる方にその良さが伝わるように書けるかということでした。振り返ってみれば、執筆期間の九割は「この要素に映えるキャラクターの行動はなんだろう?」「どんな展開ならふたりの関係性にある良さが表現できそうかな?」などと悩む時間に使っていたように思います。

受賞が決まったとき、また授賞式に出席したときのお気持ちを教えてください。

受賞のお電話をいただいたときは、驚き過ぎて泣きそうになりました。絶対に幸福の反動がくると思い、しばらくのあいだ普段の三割増しくらい善良に生きるよう心掛けていました。授賞式でも緊張が大きく、前日買ったパーティ用バッグの取っ手が壇上ですっぽ抜けたときはもう駄目だと思いましたが、担当さんや先輩作家の皆さんの本当に温かい励ましによって無事スピーチまで終えることが出来ました。賞状を受け取り、色んな写真を撮ったあとで着ていたワンピースの背中ファスナーが全開だったことが発覚しましたが、ストールを羽織っていたのでセーフだと思いたいです。

将来、どういう作家になりたいと思っていますか?

いまはまだ作家という言葉に現実感がなく、ひたすらあんな話が書きたい、こんな話も書きたいという想像ばかりしています。今後もお話を書いていけるとしたら、自分の好きなものを少しでも楽しく読んでいただけるよう、産みの苦しみに楽しく向き合い続けていきたいです。

最後に、これから作家を目指す方へひと言アドバイスを!

私が受賞作以前に投稿したお話は、箸にも棒にも引っ掛からないものばかりでした。落選の理由は数あれど、最大の理由は、「自分が楽しく書いたものを人に楽しんでもらうなんて夢のまた夢」と諦めていたことにあったように思います。その結果、自分が好きなものよりも賞向けのものを優先したり、反対に自分が好きなものばかり詰め過ぎてそれを分かってもらえるような書き方が出来ていなかったり……。私に必要なのは「自分の好きなものを楽しんでもらう」ための努力だったことに気付いたのは、ごく最近のことでした。文体の雰囲気や世界観などもすべて、楽しさを伝える手段のひとつだと考え直し、やっと書き上げたのが今回の受賞作です。私のような未熟者がアドバイスなどとんでもないお話ではありますが、少女小説の一読者として、作者の方の「好き」や「楽しい」を詰め込んだ作品がたくさん読めることを心から楽しみにしています。私も自分自身が楽しんで書くために、これからずっと全力で勉強していきたいです!お互いにがんばりましょう!